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永遠のソーイング初心者 黒やぎが綴る、縫い物の記録&時々その他。夢は桃やぎ服量産。

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ロ~ングスリットワンピ

アオザイみたいなワンピースを作りました。

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パターン: many drops ロ~ングスリットワンピ
布: many drops ふんわり大人ロゼリネン

以前作ったワイドパンツと同じく、こちらもパターン・布ともmany drops。
今回はキット販売されていたものを購入した。
布は深みのある濃ピンク色で、片面が起毛加工されている。
なぜか「水通しはしないでください」と書いてあったので、「喜んで!」とそのまま裁断、縫った次第である。

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このパターン、「ロ~ング」とある通り丈はかなり長めで、そこに深いスリットが入るデザイン。
の割に、用尺は1.7mとブラウス並みに少ない。
なぜなら、110cm幅で前後身頃を左右にわで取るという、省エネならぬ省布パターンだから。
そのぶん身頃は上から下までほぼまっすぐかつ細身で、スリット部分の縫い代が一部ミミにかかるぐらいギリギリだった。
これでスリットがなかったら足がつかえること必至、深いスリットはデザインと実用を兼ねているんだな。

ちなみに、袖はデフォルトでは肘上ぐらいだが、残りの布で取れるだけ長く取って、8分丈ぐらいにした。
また衿元は共布バイアス始末だったのを、見返し始末に変更した。
裁断したらハギレがほとんど残らず、そういう意味でも省布パターンだった。

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これまでいろいろ作ってきて、ワンピースに関してはストンとした長方形に近い形が似合うらしいことがわかってきたので、今回のパターンはなかなかいい線いっていると思う。
ただかなり細身なので、座り方に気をつけないと何かのはずみでスリットがビリッと裂けそうで怖い(笑)
間違ってもガニ股で座ったりしないよう気をつけなくてわ、ホホホ♪

ショップサイトにはシフォンスカート&ぺたんこシューズとコーディネートしたおされな着画が載っていて、まさにこの着画を見て買う気になったのだが、自分がふだん着るなら以前作ったリネンのワイドパンツ一択かな。
まさにアオザイ。

コーデの写真がうまく撮れなかったので、興味のある方はショップの着画をご覧ください(丸投げ)

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by kuroyagie | 2018-04-24 12:39 | ソーイング(桃やぎ服) | Comments(6)

North to the Orient

古本屋さんで、アン・モロウ・リンドバーグの本を買いました。

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アン・モロウ・リンドバーグは大西洋単独無着陸飛行に初めて成功したチャールズ・リンドバーグの妻で、一般にはエッセイ集「海からの贈り物」の著者として知られている。
副操縦士として夫とともに各地を飛行、その際の見聞録も発表しており、「North to the Orient」は北米から日本・中国へと至る調査飛行についてまとめた、初の著作である。

この作品のことは、須賀敦子さんの読書エッセイ「遠い朝の本たち」で知った。
興味を惹かれて当時の職場近くにあった図書館で検索したところ、1935年(昭和10年)に出版された翻訳本「北方への旅」を所蔵していることがわかった。
早速借りてみると、日本語表記は旧仮名遣い、横組みの文字は右から左に書かれ、出版社の所在地は「東京市芝区新橋七丁目」と、時代を感じさせる古~い本だった。
しかし読み慣れると古さは気にならなくなり、むしろアンのみずみずしい感性や生き生きとした描写に引き込まれ、須賀さんの印象に長く残ったのもうなずけるのだった。

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その後2002年(平成14年)になって、「翼よ、北に」というタイトルで思いがけず新訳本が出た。
2001年にアンが亡くなっているので、それも関係あるのだろうか。

最近、ふと気になって例の図書館に問い合わせたところ、貸出は不可だが閲覧はできるとのこと。
カウンターで本を受け取り開いてみると、奥付に貸出シールが1枚だけ残っていて、1998年と2002年の2回、貸し出された記録がある。
私が借りたのは、たぶん1998年の方だろう。
2002年に借りた人は、新訳本を読んで興味をもったのだろうか。

で、興味ついでに古本ネットを検索してみたら、この昭和10年版を扱っている古書店があったので、思わずポチリ。
さらにいろいろ調べてみたところ、1942年(昭和17年)にも別の翻訳本が出ていたことがわかり、これまた古本ネットで販売されていたので購入した。

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昭和10年版。
図書館の本も古かったが、これも相当年季が入っている。
まあ戦前の本だから当然か。
しかし、つや消しシルバーの紙に飛行機の線画をあしらった装丁は、今見てもなかなかセンスがいい。
装丁を担当したのは出版社の社員だった山村一平という人で、独立後はカメラマンとして活躍したらしい。
また翻訳者の深沢正策という人は、大久保康雄と同時期に「風と共に去りぬ」の翻訳も手がけたことがあるそうな。

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昭和17年版。
こちらはタイトルが「東方への空の旅」に変わっている。
翻訳者は村上啓夫という人で、アガサ・クリスティやクロフツなどの本格ミステリも翻訳しているので、それと知らずに読んだことがあるかも?

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こちらもなかなか洒落た装丁で、すでに太平洋戦争が始まっていた時代にこういう翻訳本をよく出せたなあと、不思議な気がする。

というわけで、同じ原作に対し3つの翻訳本が手元にあるのだが、最初に読んだ本ということもあって、自分としては昭和10年版が好み。
昭和17年版と平成版は文体が「である調」なのに対し、昭和10年版は「ですます調」で、この作品に関しては後者の方がしっくりくる。
旧仮名遣いで訳文も少々古めかしいが、全体のトーンは3冊の中で最も軽やかで、アンという女性の好奇心やユーモア、それに控えめで温かな人柄がよく伝わってくる。

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ところで、須賀敦子さんのエッセイで印象に残ったくだりに、「夫妻の操縦する飛行機が(千島列島に)不時着した」場面がある。
何とか着陸できたものの、場所はわからず無線連絡もままならず、死をも意識するような状況に置かれることしばし、やがて人声が聞こえてきて、自分たちが救助されたことを知る、というものだった。

しかし原作を読むと、確かに危険をともなう不時着ではあったが、場所はおおよそ把握できていて、また着陸後は根室通信局との無線を再開、先方から救助の申し出があったにもかかわらず、むしろ断っている。
結局は通信局が好意で差し向けてくれた救助艇に大いに助けられることになるのだが、それも機内で一晩すごした翌朝の出来事で、時間軸にかなり差がある。

須賀さんは子どもの頃に読んだ際の記憶だけを頼りにエッセイを書いたそうなので、内容に齟齬があっても別に不思議はない。
ただ不時着した2人の、世界から隔絶され生死の境目に置かれた様子があまりにも鮮やかに描写されていたので、原作を初めて読んだ時は「え、そんな場面ないけど???」とずいぶん戸惑った。
須賀さんは原作ではなく少年少女向けの全集で読んだらしく、「ひょっとして全集では該当場面がドラマチックに脚色されていたのだろうか???」と思ったり。

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で、これまたネットでいろいろ調べてみたら、最初の翻訳本が出た翌年の1936年(昭和11年)に、「世界名作選-日本少国民文庫」という本が出版されていることがわかった。
子ども時代の須賀さんが読んだのは、たぶんこの本ではないかと思われれる。
うまい具合に1998年に復刻版が出ていたので、早速図書館で借りたところ・・・・・・タイトルは「日本紀行」に変わっているが、内容は昭和10年版の翻訳書「北方への旅」を転載したもの(ただし一部抜粋)で、例の場面は当然ながら原作通りだった。うーむ。

ご本人亡き今、本当のところはわからないが、不時着のエピソードが長く記憶にとどまるうちに、須賀さんの中で新たな物語が紡ぎ出された、ということなのかもしれない。
私なんぞはその物語に魅せられて原作を読んでみようと思ったわけで、さすが須賀さんという気がする。

ちなみに、この全集の編集には石井桃子さん(児童文学作家。「ノンちゃん雲に乗る」など)も関わっていて、アンの作品を推薦したのは石井さんだったらしい。
えーとつまり、原作を読んだ石井さんが全集に推薦して、その全集を読んだ須賀さんがエッセイを書いて、そのエッセイを読んだ自分が原作を読んで、回り回ってまた全集に戻ってきた、ということか。
作品のもつ力はすごいなあ。

初めて原作を読んでから早20年(汗)、心の片隅に引っかかっていた疑問が一応の解決をみて、いろいろすっきりしました。

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by kuroyagie | 2018-04-11 13:08 | いろいろ | Comments(6)

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